●佐山・御言 (さやま・みこと)

本作主人公。尊秋多学院生徒会副会長。『全竜交渉部隊(チームレヴァイアサン)』代表。

亡くなった祖父の遺言により、Low-G と呼ばれる“この世界”の代表者として指名される。彼の祖父である佐山・薫は、かつて『八大竜王』と呼ばれた“世界の滅ぼし手”の一人であり、概念戦争時は4th-G及び8th-Gの消滅に加担した人物であった。血の繋がらぬ孫として、また“悪役”の後継者として、世界の命運を左右する『全竜交渉(レヴァイアサンロード)』の交渉権を託された。

祖父の存命中は概念戦争について何も知らされていなかったが、幼少時から“悪役”としての教育を叩き込まれており、合法・非合法を問わず様々な知識や技術を身に付けている。概念戦争について知る以前の学園生活においては“本気になること”が無いままに生きてきたが、それは彼が冷めているからではなく、“悪役”が本気になれる場所はどこかをひたすら自問し、そして答えを見つけ出す事が出来ていなかった為である。物語のスタート時においては、大城・一夫から概念戦争について聞かされ、それが自分にとって“本気になれること”かどうかを見極めようと思い悩み続ける。そんな彼の傍らには、新庄・運と名乗る一人の少女が立つことになるのだが……。

やがて『全竜交渉部隊』の代表を引き受けた彼を待ち受けていたのは、かつて敗れた世界の住人達との、言葉と力による対話――『全竜交渉』であった。唯一残った世界であるLow-G消滅の危機を防ぐため、各Gの生き残りが所有する“概念核”の使用権を巡って開始されたそれは、しかし多くの困難を極める事になる。“滅ぼした側の住人”であるLow-Gからの要求に対し、“滅ぼされた側の住人”である各Gの代表者から持ち出される命がけの交渉材料――文字通り、世界の生き残りを賭けた交渉のテーブルに乗せられた、各Gの想いと要求とは果たして――。

交渉とそれに付随する多くの戦闘で活躍する一方、心身に幾つかのハンデを抱えて生活をしている。祖父である薫を始め、既に他界した両親のことを思い出すと、心臓に狭心症に似た症状が出てしまい、場合によってはその場でうずくまるほどの痛みが走る。また、中学時代に出場した空手の全国大会決勝で左の拳を砕いており、握ると強烈な幻痛を覚える。物語が進むにつれ、一般人だと思っていた両親が、実は概念戦争と深く関わっていたことが判明するのだが……。日本UCAT、そして『全竜交渉部隊』と敵対する“軍”の首領から語られる真実に対し、彼の心臓は激しく軋みを上げる。果たして、亡くなった両親が残したものとは、一体――。

概念戦争について知る以前から、独善的且つ奇矯な言動が目立っていたが、『全竜交渉部隊』に合流してから(より正確には新庄と知り合ってから)は、その傾向に全くブレーキが利かなくなる。自分と新庄にはどこまでも優しくしようとする一方、それ以外の人間に対しては概ね“自分と新庄君以外に存在している何か”程度にしか認識しておらず、各所でトラブルを撒き散らす。第一声で「私が全竜交渉の交渉役である佐山・御言だ。――宇宙の中心にいる人間である」と宣うなど、非常にアグレッシブな交渉術を得意とする。

『都市シリーズ』から『ホライゾン』に至るまで、数多くの奇人変人が登場する川上ワールドだが、その中でも間違いなくTOPに位置するHENTAIであり、この佐山に対しては、あの“ママン”ですら道を譲るかと思われるほどのツワモノ。恋人である“新庄君”に対しては勿論、その弟を名乗る切に対して行った一連の行動は、多くの読者に深い衝撃と感銘を与えた。怪しいと思ったら、すぐにチェ――ック!

 

「今こそ言おう! ――佐山の姓は悪役を任ずると!」

 

 ●新庄・運 (しんじょう・さだめ)

全竜交渉部隊に配属された正体不明の少女。日本UCAT内でも特別な扱いを受けており、“彼女”の詳しい経歴を知る者は大城・一夫を含め、ごく限られた人間のみとされる。日本UCATに保護される以前の、六歳から前の記憶を失っており、自分でも親や故郷のことを覚えていない。自身の出生と両親に繋がる情報を探すため、全竜交渉部隊への参加を決意した。しかし、現在のところ両親に繋がる手がかりは少なく、彼女が持つのは一つの指輪と、名前以外に唯一憶えていた聖歌“清しこの夜”の記憶のみである。

射撃用兵器『機殻杖Ex-St(エグジスト)』を使う砲撃手だが、実戦では敵に向かって撃つのをためらう傾向がある。『Ex-St』は“使用者が望む以上の破壊は作らない”という新庄本人の要求に沿って開発されているが、そうした機能があっても、彼女は引き金を引くことに強い忌避感を覚える。そんな彼女の資質に対して、佐山は甘さと同時に、自分にはない“正しさ”を感じることになる。互いに互いを“逆”の存在として意識しあう佐山と新庄――この二人に待ち受ける運命とは果たして……。

自分をかばって負傷した佐山の日常生活を気遣い、忙しい自分の代理として“弟”の新庄・切(せつ)を紹介する。“運”と“切”、見た目には殆ど違いのない(しかし、佐山の綿密な“調査”によって性別は違うと確認された)この双子の姉弟には、ある秘密が隠されているのだが……。

彼女が失くした記憶は、多くの謎に包まれた『概念戦争』の真実に直結しており、その存在そのものが“全てを繋ぐ鍵”となっている。両親の素性 、そして誕生した“場所”が明らかになるつれ、物語は大きく加速していくことになる。果たして、彼女の記憶の底に残っていた“歌”に込められた願いとは――。

全十四巻の長きに渡り、主人公である佐山から数々の“常識に反する行動”を受けまくる被害者系ヒロイン(但し、後半はほぼ合意の上)。ホラのアニメ三期放映における最大の障害であろう“ママンのアレ”に匹敵する多彩なエピソードの持ち主であり、氏のギリギリ描写とさとやすさん渾身のイラスト群によって、読む者に表現の自由とはナニかを教えてくれる(気がする)。まロい。


「逆だね、ボク達」

 

 ●新庄・切 (しんじょう・せつ)

新庄・運の“弟”。左腕を負傷した佐山の為、姉である“運”が日常のサポート役として紹介した。尊秋多学院に入り、佐山と同室の寮生となる。

“運”と違い、UCATの事を知らずに生活しているらしく、姉の代理を引き受けたのも単に彼女が「仕事で忙しいから」との事。姉とは外見から性格まで瓜二つであり、違うのは性別のみである。

余りに姉と似通っている為、本当に別人なのかを疑う佐山によって、数々の『確認』を強いられる事になるのだが……。やはり、氏のギリギリ描写とさとやすさん渾身のイラストによって、読む者に表現の自由とはナニかを(以下略)――。プレゼント。

 

「変なこと、しないでね」

 

 ●出雲・覚 (いずも・かく)

尊秋多学院生徒会会長。三年生だが、実年齢は二十歳。全竜交渉部隊の前衛役として、パートナーである風見・千里と共に戦場を駆け抜ける。日本UCATの母体であるIAI現社長の出雲・烈を父に持ち、更には『八大竜王』として6th-G及び10th-Gを滅ぼした出雲・全(故人)を祖父に持つ。

同じ三年生の風見・千里とは学院寮の部屋で同棲しており、自他共に認める事実婚状態にある。本来、学生という立場では考えられない生活スタイルではあるが、尊秋多学院を創設したIAI――出雲社航空技研の跡取り息子という立場に加え、彼自身が成人していること、両家の親が二人の関係を認めているといった理由により、現状では黙認されている。会長選挙では、同棲生活をひやかしたヤジに対して、ラブラブ自慢で返すなど、明るく好い加減な性格の持ち主。

大型の機殻剣“V―Sw(ヴィズィ)”の担い手であり、常識外れのタフさと大剣を振り回す膂力で、敵主力と真っ向から渡り合う。彼が持つ“V―Sw”は、他の隊員が使う通常の機殻剣とは根本から異なっており、内部には6th-Gの“概念核”が封じられている。剣そのものに意思が宿っており、彼が呼べば“V―Sw”が文字通り「飛んで」くる。6th-Gの概念である『破壊と再生』の力を宿しており、その力は所有者として認められた彼にしか引き出すことが出来ない。 全竜交渉部隊の主力として、“女房役”の風見と共に、常に第一線で道を切り開く。

祖父と父はLow-Gの人間だが、祖母と母親はどちらも10th-Gの出身者(母親は“10thの姫”との事)であり、10th-Gの血が色濃く流れている。二年前までは近畿地方に設けられていた10th-Gの居留地で暮らしており、現在とは言葉も名前も異なる生活をしていた。その二年前に、6th-Gの残党が起こした戦闘に巻き込まれた彼は、同じように巻き込まれた風見と出会い、互いに協力して生き延びたという過去を持つ。以降は、その特殊な出自と併せ、概念兵器“V―Sw”の所有者として多くのGの残党にも名が知れ渡る事になる。その血筋が持つ因縁は深く、物語が進むにつれ、とてつもない“強敵”を呼び寄せることになるのだが……。

『都市シリーズ』の読者にとっては馴染み深い“腕がアレする大剣使い”であり、彼らの“雛形”とも呼ぶべき多くの特徴を持つ青年。当然、好きな女性に対しては大変積極的であり、日常は勿論、例え戦闘中であっても“妻”へのアプローチは怠る事がない。はた目には単なる万年発情男であり、本人も周囲に「最初に憶えた漢字が“女湯”」などと豪語している。しかし、本当に最初に憶えたのは“千里”という漢字であり、要するにそういう男なのである。――ちなみに彼の持つ“V―Sw”と、風見の持つ“G-Sp2”はどちらも使い手のテンションに合わせ変形し、そのたびにパワーがはるかに増す。この意味がわかるな?

 

「V―Sw、敬意を示すぜ! 今の楽しさなら行けるだろう。――第三段階だ!」

 

 ●風見・千里 (かざみ・ちさと)

尊秋多学院生徒会会計。全竜交渉部隊の主力として、パートナーの出雲と共に多くの戦場の空を駆け巡る。まだ正式に籍こそ入れていないものの、出雲とは事実上の夫婦関係にあり、彼女の両親もそれを認めている。他の全竜交渉部隊のメンバーと違い、両親や祖父母の代から『概念戦争』に因縁があった訳ではなく、以前はごく普通の生活を営んでいた。しかし二年前、6th-G残党が起こした戦闘に偶然にも巻き込まれた彼女は、最終的に出雲と共に生還し、以降は『全竜交渉』の最前線に身を置く事となる。

10th-Gの“概念核”を収めた機殻槍“G-Sp(ガスプ)2”の使い手であり、出雲と同じように内部の“概念核”から主として認められている。更には、光の翼を生み出す概念装備“X-Wi(エクシヴィ)”によって自在に空を翔ける事が可能であり、非常に高い機動力を誇る。制空権の確保から敵主力への突撃まで、戦場において幅広い活躍を見せる『全竜交渉部隊』のエース格。

口より先に手が出るタイプであり、おまけに“G-Sp2”の加護によって並外れた怪力が備わっているため、他のメンバーからは恐れられている。実際に手を上げるケースは殆ど無いが、“身内”である出雲にだけは容赦なく拳を振るう。常人なら再起不能になるほどの打撃だが、出雲もまた母方の“血”によって防御力を高める加護が付与されているため、彼だけは“妻”の打撃に対して何とか耐える事が出来る(決して平気ではない)。とは言え、曲者揃いの全竜交渉部隊の中では(まだしも)常識的な感性の持ち主であり、何かとチームの取りまとめ役に回る場面も少なくなかったりもする。

かつて所属していた部活の部長に推されていた事もあるなど、リーダーシップもあるが、事情があってその部活動からは身を引いている。明るく快活な性格の持ち主だが、半面、一度落ち込むとなかなか立ち上がれなくなる弱さも持つ。――全竜交渉が佳境に差し掛かったある日、予想外の“敵”の襲撃を受けた彼女は動揺し“G-Sp2”は大破、更には彼女をかばった出雲までも意識不明の重体に陥ってしまう。後悔と無力感に打ちのめされた彼女は、誰の言葉にも耳を貸さず、ひたすらに自分を責め続ける。そんな彼女に対し、再び“敵”は襲撃を仕掛けてくるのだが……。

“夫”の出雲がそうであるように、“CITY”に登場する多くの『空翔ける槍使い』に連なる特徴を備えており、世界の滅びに立ち向かう“彼女たち”の一番手とも呼べる存在。本作でも『腕がヒャッハーな大剣使い』の隣に立ち、歌を朗じて戦場の空を翔け抜ける。――ポジション的にはヘイゼルですが、性格はどちらかと言えば某G機関長に近い気がするかと。要するに、いい女ってやつでしょうか。……エイプキラー? いえ、知らない子ですね。

 

「いいところで出てきて、……男の子なんだから」

 

 ●飛場・竜司 (ひば・りゅうじ)

第三巻より本格的に登場する少年。尊秋多学院一年生。自動人形と武神戦力で名高かった3rd-Gを滅ぼした『八大竜王』である飛場・竜徹の孫。パートナーの美影と共に『荒帝(スサミカド)』という名の黒い武神を駆り、日本UCATとは別に独自の戦いを続けている。

父は亡くなっているが、祖父である『八大竜王』の竜徹は健在であり、 直々に飛場流という格闘術を伝授されている。確かな格闘センスと高い潜在能力を秘めており、本人も自分の強さに対してそれなりの自信を持っている。

五年ほど前から3rd-G製と思われる武神の襲撃を何度なく受けているが、その度に美影の呼び出す武神『荒帝』と合一し、相手を撃退し続けるという生活を続けている。現在も祖父の代から続く3rd-Gとの因縁にケリをつけるべく孤軍奮闘しており、佐山の申し出た『全竜交渉部隊』への参加に対しても、理由を明かさぬままに拒絶を繰り返す。彼が言うには、3rd-Gは大きな“穢れ”を抱えており、まずはそれを祓う必要があるとの事なのだが……。

竜徹の認めた“穢れの祓い手”として、そして何よりも人への進化を止めてしまった“自動人形”である美影の成長のため、自らの力のみで3rd-Gとの決着を果たそうと決意している。しかし、『八大竜王』から教えを受け、更には強力な武神戦力をも併せ持つ彼に対し、佐山や出雲はその外道的視点から幾つもの指摘すべき“弱点”を見付け出す。果たして、この少年の抱え込む危うさとは――。

武神による戦闘を続ける傍ら、かつて父の飛場・竜一が養女にした“義姉”の行方を追っている。“この世界”においては、飛場・美樹という名を与えられたその“義姉”は、ある日、何も言わずに彼と彼の家族の前から忽然と姿を消したのだが……。

紆余曲折を経て、『全竜交渉部隊』に合流した後は、生徒会会計補佐として晴れて外道集団の仲間入りを果たす。が、彼に与えられた実際の役割はホラにおける“あの忍者”のポジションであり、主な任務は買出しと特攻のどちらかである。“嫁”がたいへん魅力的なのも同じであり、それゆえに背後から命を狙われる日々を送っている。川上ワールドにおける『近接格闘師』の特徴を多く備えており、二十四時間体制で“ややエロ”である。もげろでゲルゲ。

 

「ただ、僕はどうあろうとも美影さんを護っていきたいです」

 

 ●美影 (みかげ)

自動人形の身体を持つ少女。飛場・竜司のパートナーとして第三巻より登場する。『概念戦争』当時、3rd-Gから亡命してきたレアという女性の娘であり、武神『荒帝』を呼び出す力を持つ。十年前、飛場・竜司の父親である飛場・竜一によって引き取られ、以来、飛場の家で暮らしている。

生まれた時は人間の身体だったが、3rd-Gが抱えていた“ある問題”を解決する為に、3rd-Gの前王であるクロノスによって『人に進化する自動人形』に生後間もなく“手術”された過去を持つ。現在でもその“進化”は途上であり、未だに身体の多くの部分は人形のままである。特に、五年前に飛場を守るために『荒帝』を呼び出してからは、彼女の“成長”は完全に停止しており、五年経った今でも変化の兆しは訪れていない。その事に対し、パートナーの飛場は強い責任を感じている。

身体の各所が“未熟”な状態であり、未だに立って歩くことも声を出す事も出来ない。日常では杖を使ったり、飛場に車椅子を押してもらったりしているが、自分で出来る範囲のことは自分でやろうとするなどきちんとした自立心を持っている。唇の動きや仕草からコミュニケーションを取る事は可能であり、特に飛場などは無音の電話越しであっても、彼女の言いたいことが“何となく解る”レベルにまで到っている。

当初は飛場と二人で戦闘を続けていくつもりだったが、彼の“敗北”を目の当たりにした事が切っ掛けとなり、その考えが揺らいでいく。現実に訪れるかも知れない彼の“死”を想像した彼女は、自分よりも相応しい“他の皆”と飛場が合流した方が良いと思いつめ、声を立てぬまま涙を流すのだが……。飛場と離れ、落ち込む彼女に対し、一人の女性が戦場で問いかける。「美影様の本心は、どこに向かわれようとしていますか?」――その問いに対して、彼女の出した答えとは……。

“FORTH”から“CITY”に至る年代において、現時点で確認し得る最初の『人に成長する自動人形』 の身体の持ち主であり、その意味で『倫敦』や『巴里』に登場した“彼女達”の遠い姉とも母とも呼べる存在。彼女もまた大切な相手への想いによって密やかに、そして時には劇的に変化していくのだが……。 自身の肉体に対するコンプレックスとその反作用からか、飛場に対して「今日、御風呂入ろうか」「最近触ってくれないから」「○○(女性の名が入ります)のがいい?」 などと怒涛のストレート攻撃を行うことがあり、知らないうちに大切なリュージ君を“あの忍者”と同様の状態に落とし込んでいる。裏山死刑。

 

「ん」

 

 ●ヒオ・サンダーソン

第四巻より登場。5th-Gを担当した『八大竜王』のリチャード・サンダーソンの曾孫に当たる米国育ちの少女。両親は既に亡く、曾祖父であるリチャード氏と二人で生活していた。『八大竜王』である彼に連れられ来日したが、目的地に向かう途中、何者かの襲撃を受ける。曾祖父の指示によって、何も分からぬまま彼女はたった一人で戦場から逃げ延びることになるのだが――。

走って倒れこんだ先で、彼女は偶然にも一人の少年に保護される。ダン・原川と名乗る、どこか人を突き放すような態度を取る少し年上の少年との出会い――本来、ごく短い期間で終わったはずの彼との時間は、しかし“不慮の事故(同棲生活のお約束)”や思わぬ“来客達”の訪問によって、思いのほか長引いていくことになる。それでも曾祖父との再会を叶えるべく、原川と共に待ち合わせ場所である西多摩霊園へと向かった彼女は、そこで思いもかけない光景に遭遇する。戦闘をしながら宙を翔ける“翼の少女”や“巨大な白剣”を振り回す大柄の少年――どうやら、原川と知り合いらしいその二人は、彼女と原川に対し、ここから逃げるようにと叫ぶのだが……。

幼い頃、大きな風の塊のような“悪魔”に母親を惨殺されており、それ以来、“悪魔憑き”と周囲から不吉がられたという過去を持っている。 母、曾祖父、そして今度は自分を庇う原川から発せられる「走れ」という言葉――人生で三度繰り返されたその言葉を聞いた彼女は、我知らず拒絶の悲鳴を上げる。その瞬間、空に響く悲鳴と共に戦場に突如として吹き荒れる巨大な風……果たして、彼女の運命を翻弄する、その“形ある風”の正体とは――。

『八大竜王』の一人から「単機単位では最強」とまで云わしめた5th-G製の“ある兵器”と深い関わりを持っており、その力を持ってパートナーと共に 『全竜交渉』へと参加する。彼女もまた、佐山や飛場、そして原川と同様にある時期に父親を亡くしている。これは単なる偶然の一致なのか、それとも――。

かつて家庭教師を務めた“ある人物”から日本語を習っており、非常に丁寧(?)な口調で皆に接する。 金髪、巨乳(予定)、更にはお嬢様口調と、『伯林』や『ホラ』の読者にとっては「どうみても○○です。本当に有難うござい(ry」と言いたくなる特徴を持ったキャラクターであり、“彼女達”と同様、知らないうちに“してはいけない事”をするのが得意なタイプである。『ホラ』では 見方によっては“二人”になってる気もするが、やってる事は変わっていない気もする。取り合えず――まず服を脱ぎます。

 

「どうしてヒオは、走ったときに何かを失うんですの……?」

 

 ●ダン・原川

尊秋多学院二年生。自動車部所属。米国人の父と日本人の母を持つハーフの少年。軍人だった父親は既に亡くなっている。母親は病身のため入院しており、現在はアパートで一人暮らしをしている。自分と母親を残して死んだ父親のことを嫌っており、あえて母親の姓である原川を名乗っている。暮らしを支えるために横田基地でアルバイトをするなど、色々と世間に揉まれたフシがあり、若さに似合わないニヒルな態度で人と接する。

尊秋多学院に通いながらも、『概念戦争』について何も知らずに生活していたが、ある日、アパートの軒先で気を失った一人の少女を保護したことで、彼の“運命”は大きく動き出す。ほんの一時の出会いで終わるはずだったその少女――ヒオ・サンダーソンとの時間は、しかし当初の予想に反して徐々に長引いていく。更には彼女が逃げる間際に曾祖父から聞かされたUCATという名の組織――自分には全く関係がないはずのその組織を、なぜか入院中の母親が知っていることが判明するのだが……。

ヒオ・サンダーソンを巡る日本UCATと米国UCATとの対立、そして六十年の時を経て再び活動を再開した5th-G製の“巨大兵器”との争いに巻き込まれた彼は、やがて一つの選択を迫られることになる。俯き、そして肩を震わせながら自分に別れを告げた一人の少女に対する選択を――。自分の生活をかき乱し、そして勝手に居なくなった“嘘つき女”に対し、彼が下した決断とは……。

物語が進行するにつれ、彼もまた他のメンバー同様に、自身とその肉親の“過去”に向かいあっていくことになる。1995年に起こった『関西大震災』――その“現場”に向かい、そして帰らなかった父が、当時 『五大頂』と呼ばれた特殊なメンバーの一人だったことが明らかになる。果たして、記録の大部分が封印され消失した『UCAT空白期』に隠された途轍もない“真実”とは――。

『全竜交渉部隊』における(というより本作全体における)、数少ない“常識人”の一人であり、しなくてもいい苦労を重ねる苦労人。 『伯林』や『ホラ』の読者であれば「○○さんの兄弟かご親戚の方ですか?」と訪ねたくなる風貌をしており、彼らと多くの“好み”や“口癖”を共有しているキャラクター。『ホラ』では“あっち側”で登場してますが、これは「もうメイン外道集団とは付き合い切れねぇ」という遠い遺伝詞の成せるワザなのでしょうか(まあ、向こうは向こうで大概アレですが)。ともあれ今作では“運命”がどうとかほざいたり、百合(レズぅ?)がどうしたとかは叫びません。ただズリ下ろして指を這わせるだけですしおすし。

 

「今は原川じゃない。――何しろ、俺らしくないことをするのだから」