●アキラ

本編の主人公兼ヒロイン。香港商店師団衛生課巡査。香港一と称される『風水師(チューナー)』であり、本人もその事を自覚している。百二十八万の詩階(オクターブ)を操る実力の持ち主(常人は八万程度操れれば上出来とされる)。

人間の父と熾天使の母を持つ。彼女の様な人間と天使の間に生まれた者は匪天(ひてん)と呼ばれ、香港社会では差別的な扱いを受ける事も少なくないが、彼女自身は『いつか匪天も人間も仲良く生きられれば良い』と願っている。

香港一の 『五行師(バスター)』であるジェイガンの死に立ち会った事を契機に、ダブルリーの起こす『第六神罰戦』の渦中に巻き込まれてゆく事になるのだが……。本 名は李・良月(リ・リャンユエ)。同じく李性を持つ兄がいる。

『金髪の天使』、『槍を使う風水師』、『竜と戦い、歌を吟じる』など後の川上ワールドに おけるヒロイン達の素体とも呼ぶべき特徴を数多く持っている。一人の時はまず右胸から。でもお尻。とにかくお尻。

 

「匪天や人が皆、父さんや母さんみたいに、一緒に住めればいいのに……」

 

 ●ガンマル

返還間際の香港を訪れた謎の『五行師(バスター)』。道に迷っていたところ(本人談)をアキラと出会い、以後、行動を共にすることになる。慇懃無礼を絵に 描いたような人物。風水五行にも否定的な態度を取っており、そのせいでアキラとも度々口論となるが、時折り垣間見せる力は超一流のそれであり、香港随一の『風水師』であるアキラも舌を巻くほどの技量の持ち主。

本名はローガン・マルドリック。その正体は欧州五行師宗家であるマルドリック家の次男であり、五行の実力は宗主である兄のジェイガンをも上回る。ジェイガンに呼ばれ香港を訪れたが、そのジェイガンは既に何者かに殺された後だった。兄殺害の真相と、彼の残した『神形具(デヴァイス)』の行方を探る中で、彼もまた己の風水五行に向き合っていく。そして徐々にアキラとの距離も縮まっていくことになるが……。

――『片腕が義手の剣使い』であり、アキラと同じく川上ワールドに登場する多くの登場人物達の基盤となる特徴を持つ。好きな子に毒舌とか浴びせるのが大好きで、それでいて最後にはキッチリと(性的な意味も含めて)美味しいところを持っていくところとか本当にアイツ等とそっくりですな……。

 

「惚れるにはまだ早いな。……彼女は、俺の苦手な風水師だからよ」

 

 ●リン

香港商店師団衛生課巡査長。アキラやコウガの直属の上司。本名は奉・鈴(ホウ・リン)。幼い時より将軍に風水の手ほどきを受けており、三十二万の詞階を操ることが出来る。家計簿はしっかり付けるタイプ。艶やかな黒髪に男物のスーツを着こなす怜悧な女性だが、性格は姉御肌で懐も深い。アキラやコウガにも慕われている。

周囲からの評価は高いが、過去に起こった『ある事件』によって離別した恋人を今でも探しており、内心に危ういものを抱えている。ダブルリーの起こす『第六神罰戦』において、かつての恋人の再会した時、彼女の採った選択とは果たして――。

『DT(デトロイト)での義体化』、『緑の右目、赤い左目』 など、彼女も他作品に連なる要素を持っている。後に刊行された『創雅都市S.F』においては副団長になっており、影ながら部隊の指揮を執っている。その傍らには……。

 

「安心しろ。その時は私の権限でお前に責任を取らせてやる」

 

 ●コウガ

アキラと同じく香港商店師団衛生課の巡査だが、金髪リーゼント、グラサン、真っ赤なアロハシャツと外見上は完全に三拍子揃ったチンピラ。本名は山城・孔臥。人間の父親とハーフ吸血鬼の母親を持つ。

吸血鬼としてはクォーターだが、使い魔を操ったり、灰化して死んでも生き返るなど、その能力は高い。生まれと育ちは日本。かつては『韋駄天』と呼ばれていたほどのバイク好き。そのチャラついた外見とは裏腹に大変義理堅い性格で、例え私情に反した命令でも責任を持ってやり遂げる任侠精神の持ち主。最終決戦の直前、将軍より二冊のノートを預けられる。ノートの題名は『1971・A tuner is Telling(ある風水師の手記)』。二冊のノートとも、同じ筆跡で同じ題名が書かれている。

――外見、性格ともに『連射王』の鉄さんや『TOKYO』の大将と似通っており、川上ワールドにおける名脇役の人物像を持つ。『漢』と書いて『おとこ』と読ませるタイプですな。

 

「あ、自分は大丈夫っすよ。殺されたって死にゃあしませんから」

 

  ●将軍

飄々闊達な老人。香港商店師団衛生課顧問。両親を亡くしているアキラにとっては単なる上司以上の被保護者的な存在。よく戦車に乗って香港市街を巡回しており、犯罪に出くわした際には容赦なく戦車砲をぶっ放す。

39年前(1958年)に起こった『第四次神罰戦』において香港を救った英雄であり、彼を知らない者は街都にいないとさえ言われる。その風貌は、亡くなったアキラの父親にどこか似ているらしく、また将軍にもアキラの父親にも頬に同じような傷があるのだが、はたしてそれも偶然なのだろうか? 妻が居るとされるが、誰も姿を見たことが無いため、衛生課の中では『将軍の女房』については半ば都市伝説と化している。単なるボケ老人なのか、それとも……。

 

 

 ●ダブルリー

匪天ではあるが、外見上は熾天使の母親と変わらぬ完全な六枚羽を持つ男。天界復活をもくろみ『第六神罰戦』を起こそうとする三人の匪天のリーダー格。過去 の神罰戦で失われたはずの『喪失技巧(デステクノ)』に通じており、常識を覆すほどの大規模風水を起こす力を持つ。その圧倒的な実力はアキラを遥かに凌駕し、他の追随を許さない。

彼の目的はかつての第二次世界大戦で使用された言詞爆弾により損壊した天界の復活であり、そのために香港の大地を風水によって竜 に変化させ、しかる後に天へと押し上げ、損壊部分の代わりとするというものである。竜に変化する際の香港の『被害』については、すでに彼の中で割り切られており、いかなる者の言葉を持ってしても止めることは出来ない。そう、たった一人の妹の声でさえも――。本名は李・リード。ダブルリーという呼称は、その本名にちなんだものである。

 

「我々には、天界があるのですから」

 

 ●ジーニアス・エライアス

天界復活をもくろむ三人の匪天の紅一点。智天の特徴である四枚の翼を持つ美しい女性。光を操り強力な殺傷能力を誇る。上司であり計画の主導者だった黄・大 全の命令により、ジェイガンに近づき篭絡した。やがて時を重ねた二人は結婚寸前まで行くが、ジェイガンのかつての恋人が、自分と似た外見の持ち主だったこと知り決別した。ダブルリーによってジェイガンが殺された後も、天界復活のためにリーと行動を共にする。

口では否定しても彼女の奥底にはジェイガンに対する深い愛情が残されている。「彼は本当は自分をどう思っていたのだろう?」――その疑問に対する答えは『第六神罰戦』で明らかになる。

 

 

 ●フェイ・ガーランド

三人の匪天の一人。座天。その全身は義体化しており、圧倒的な膂力を誇る。義体化と同時に『感情喪失手術(サイコアウター)』を自らに施しており、一切の感情と記憶を失くしている。そのため彼自身でさえも、どうして自分が感情と記憶の消去を望んだのかは既に分からなくなっている。彼を変えた事件とは何なのか? それを知るものはごく僅かしかいない。一人は彼が行動を共にするダブルリー。もう一人は、彼を長年に渡って探し続ける、ある女刑事である。