●青江・正造

本作主人公。年齢二十五歳。一人称は「わし」。国家級の犯罪に対処する特殊部隊『日本国臨時内閣対特殊領域部隊-GASAS(ガサス)』の第四班班長を務める。“拳聖”小林・吽暁を師に持ち、自身も“豪位”の位階を持つ生粋の『近接格闘師(クリティカルフォーサー)』。師である吽暁を殺した兄弟子のアルゴを追っている。

かつては“最強”を目指していたが、誤って人を殺めたことにより、自分の拳を『命を奪う攻撃者(マイナス)の拳』と見限り、軽蔑している。自らを信じられなくなった彼は、兄弟子のアルゴに“最強”を託しGASASに入隊したが、後にアルゴは師であった吽暁を殺害。更にはその養女であったオルタネートの意識遺伝詞を連れ去るという事件を起こした。憤った彼は、自らの班を率いてアルゴを追跡――しかし、四班は壊滅し、隊長である彼もアルゴに返り討ちに会ってしまう。

自分の命をとらぬままに逃亡したアルゴを追って、逃亡先である『電詞都市-DT』に向かった彼は、そこで一人の女性と再会する。彼女の名は優緒・ナタス。DTを統べる十三亜神の一人にして、かつては学生時代を共に過ごした長寿族の少女であった。彼が人を殺めた夜、時を同じくしてDTへと帰国した彼女との再会は、果たして彼に何をもたらすのか――。そして、兄弟子であったアルゴが問いかける、“最強の拳”の正体とは――。

ヒロインである優緒から『馬鹿で理不尽で放任主義の上に有害エロ』と評される通り、良くも悪くも『Don't Think. Feel!(考えるな、感じろ)』が身についた超体育会系主人公ですが、ヒロインに対して“ややエロ”を貫くのは川上ワールドの格闘家としては、むしろ礼儀の範疇かと。GASASの上司である池丸・孝一氏は、『OSAKA』で登場した池丸・孝弘の父親に当たる人物。いつかは“王”と共闘する日が来るんでしょうか。

 

「もし今会ったら、お前はわしの拳を信じてくれるじゃろうか……」

 

 ●優緒・ナタス・WAV

本作ヒロイン。DTを統治する九家十三亜神の一人で、不老不死の長寿族。九年前にDTから日本へと留学、登校初日に一人で居たところを青江と出会った。学生時代は総長であった青江と組んで、北関東総長連合の広報長として活躍する。帰国当日、青江と不本意な別れ方をしてしまい、ずっとそれを気にかけていた。アルゴを追ってDTへと入国した青江から、任務遂行の為の助手として打診され、再びコンビを組む事になる。

学生時代から青江のことを“先輩”と呼んでおり、DTで再会してからもその呼び方を変えずにいる。憲兵師団員をしており、DTの環境に不慣れな青江のサポートに力を尽くす。『天球型己動詞展開術(R f S)』と云う特殊な技術な使い手であり、高速で『己動詞(プログラム)』を展開・発動することが出来る。彼女によれば、『複雑すぎるんで今じゃ私しか使い手いないんですよねー』とのことなのだが……。

かつてDTで行われた実験により、過去の記憶を一度は全て失っている。留学の目的も、そもそもは失われた彼女自身の“過去”を探すためであった。結局、彼女の過去は見つからぬままに、青江と出会いを通して楽しくも騒がしい学生時代を送ることになったのだが……。果たして、消えてしまった彼女の“過去”とは一体――。

イラストを担当するさとやすさん念願の長耳ヒロインとして、本作における十八禁部分を一身に受け持つ、けな気系エルフ娘。(尚、『えっちぽいんと』は『意外と高め』な模様)。設定として“長寿族は歌唱力が高い”という付与がされており、その点、ホラ読者には感慨深いものがあるなと。ハラショー。

 

 

「私と先輩だと、どんな召還紋章が作れるのか、見てみたくありません?」

 

 ●アルゴ・エバークエスト

青江の兄弟子に当たる人物。元々は米国生まれの孤児だったが、少年時代に師である小林・吽暁と出会い、弟子として日本へと移り住んだ過去を持つ。常に冷静で礼儀正しく、青江に対しても諭すように話しかける好青年だが、現在は吽暁を殺し、その称号を奪った“聖位殺し”の重犯罪人として追われている。師との激闘により遺伝詞が変化しており、現在は不老不死の身となっている。

師殺しに加え、その養女であったオルタネート・小林の意識遺伝詞(簡単に云えば魂)を所持しており、そのことに対しても誘拐罪が適用されている。育ての親同然だった吽暁の命を奪い、更にはオルタネートの意識を連れ去った彼に対し、青江は深い憤りを覚え、彼の捕縛に全力を尽くそうとするのだが――。

DTへと逃亡した後は、協力者達と力を合わせ、ある計画を“復活”させる為に暗躍する。果たして、“最強の拳”の意味を知るこの男の目的とは――。

 

「風は何故に冷たいのか。君には解りますか? 青江君」

 

 ●オルタネート・小林

青江とアルゴの師である小林・吽暁の養女。青江からは“姐者(あねじゃ)”と呼ばれ慕われている。青江を通じて学生時代の優緒とも親しくしていた。『言障(ワーズワーン)』という不治の病に掛かっており、遠からず身体が消滅することが確定している。現在、身体の方は病院で睡眠状態にあり、意識のみをアルゴが誘拐し連れ去ったとされているのだが……。

色々と複雑な家庭環境に置かれた彼女だが、残り僅かな寿命を使い、“姉”と同様、自分の傍らに立つ人物のサポートに全力を尽くすことを決意している。 

 

<じゃあ、一緒にいましょうね。何らかの形で終わりが来る、その時まで>

 

 ●オウガ・テライ・DLL

DTを統治する十三亜神の一人。腹の突き出た中年の黒人男性。フーブリッキーの夫。入国した青江に対し、DT憲兵師団代表として様々な注意点を指南する。自らを外界が苦手な『騒荷主流(マイナスエリート)』と称するが、アルゴ追跡に焦る青江に対し様々な助言を行うなど、人当たりは悪くない。

過去にDTで行われた実験についても記憶を保持しており、優緒の失われた過去について知る人物の一人。妻のフーブリッキー共々、優緒に対して何らかの負い目を感じているようなのだが……。果たして、彼らが過去に行い、そして失敗した二度の“神触実験”の正体とは――。全生命礼賛者の敵にして、希望の星。

 

<ああ、これは単に私の高尚な趣味だ。――げふっ>

 

 ●フーブリッキー・テライ・SYS

テライの妻。夫と同じくDTを統治する十三亜神の一人。外見は五頭身の少女だが、彼ら十三亜神は過去に行われた“神触実験”の影響により不老不死化しており、見た目と実年齢が必ずしも一致している訳ではない。彼女が五頭身なのは、 旦那の都合によるところが大きいだけだが……。

夫と共にDT憲兵師団の指揮を執り、アルゴ達が巻き起こす騒乱への対処に当たる。他にも、互いに距離を測りかねる“若い二人”に対して様々な助言を送るなど、非常に出来た好い奥さんである。

 

「女ってのは夫婦のどっちが偉いかすぐに解るものよ」

 

 ● アーコン・エザムダ・TXT

DTを統べる十三亜神の一人だが、過去の“神触実験”の失敗により、一度は過去の記憶を失ったとされる人物。DTの医療及び遊戯地区を管理しており、彼の管轄する遊戯地区の遊園地には、子供達を楽しませる為に量産された多数の“贋作外殻”と呼ばれる自動人形が稼動している。

『騒荷主流(マイナスエリート)』である十三亜神の中でも、「最も凄まじい外界剛断(シャッター)」と目されていた人物であり、過去に行われた“神触実験”においても、重要な役割を果たしたとされる。記憶を失う以前には、治療は不可能とされる『言障』の研究に打ち込んでいたとされるのだが……。

 

「そう、そして私も、記憶のほかに家族を一人奪われた」

 

 ●四管区長(カルテット)

エザムダによって造られた四体の“贋作外殻(NPCボディ)”。事件の首謀者達に付き従い、強力な戦闘能力を持って王城内の占拠に力を尽くす。

もともとNPCボディは、特殊なDTの環境にあって人の為に働くよう設計された一種の“自動人形”の総称であり、その性質上、多くのNPCボディが量産され各所に配備されていた。当然、彼らは人間に危害を加えるような設計はされていないのだが、中には数百年以上も活動を続けている“旧型”が混じっており、廃棄処分を逃れて過去の記憶を保持している者が存在すると推察されている。

“四管区長”の名に相応しく、四体それぞれが個性的な能力を発揮して青江の前に立ち塞がる。もともと戦闘用として造られた訳ではない彼らだが、各々が持つ特性と、過去に仕えた一人の少女への想いによって比類なき能力を発揮する。かつての主、そして青江との戦いの果てに彼らが見出す答えとは、果たして――。

 

「ほう? 我々の過去に対して、何か対抗できるものがおありで?」