1999年8月――あらゆる“不幸”を一つの都市に封じ込め、さらに都市の時間を不幸ごと停止させるという計画は、一人の少年の力によって阻まれた。彼の力により、その都市は凍結空間になることを免れ、内部は“三日間”を繰り返す連環型閉鎖の状態になったとされる。“世界破滅に至る不幸”を内包しながら閉鎖されたその都市の名を、『矛盾都市-TOKYO』といった。

現在、各国においてTOKYOを解放すべきか否かの議論が繰り返されている。“不幸”を内包したまま閉鎖されたTOKYOという都市をどうするのか? 仮にTOKYOを解放した場合、彼の地にて封じられた“不幸”にどうやって対抗するのか? その答えを、人類は未だ見出せずにいる。

だが、その答えを探す時、我々は常に一つの疑問に行き当たる。本来、極秘裏に進められたとされる一連の計画を止めた少年とは、そもそも何者だったのだろうか? あの“惑星十字列”をも利用して進められた時間凍結にすら抗った――即ち、惑星間規模の事象にすら対抗し得た、彼の“力”と“意思”は、何によって支えられていたのだろうか?

また、記録によれば“TOKYO閉鎖”の起こる半年ほど前に、あの『BABEL争奪戦』に付随する何らかの争いが、TOKYO各地で頻発していたとされる。当時の状況からするに、かなりの規模で起こっていたとしてもおかしくないそのトラブルは、しかし大部分が闇に葬られ、現在ではその詳細を知る者は誰一人として確認することが出来ない。起こっていたはずのその“騒乱”は、果たして、どのようにして防がれたのだろうか?

時間の凍結に抗い、TOKYOを閉鎖というかたちであれ存続へと導いた者は誰か? そして、それ以前に起こっていたはずの、新たな東西抗争の芽を密かに刈り取った者は誰なのか? 現在では知ることの出来ない、それらの記憶が紐解かれる日は、果たして我々の前にやってくるのだろうか。……もしも、それらの真相を語り得る書物があるとすれば、我々はその登場をいつまでも待ち続けるに違いない。――『矛盾都市TOKYO』の到来を。

 

 

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